柔軟なマジシャンを目指す

 前回コラムに書いた“柔軟なマジシャン”ですが、今、私の目指す形が柔軟なマジシャンです。

今回は、何故柔軟なマジシャンを目指すようになったかを書きたいと思います。

やり始めの頃は、演じるマジックやセリフをキチッと決めて演じていました。
このマジックを演じて、このようにしゃべってと、前もって決めて、その通りに演じていました。

あるとき、とあるイベントに呼ばれました。そのイベントは、一般の人やマジックの好きな人なども含めて、2・30人ほど来てもらって、そこで数人のマジシャンが演じるというものでした。

その会合に、私は何度も足を運びました。
何度も行くうちに、そこに出演するマジシャンが、何を演じるかも自然と知るようになっていました。

何度か行くうちに、あることに気が付きました。

同じ演目なのに、反応のある時とない時がある事です。

同じ演目で、反応が変わるのは、お客さんが前回と違うからだと思いました。
お客さんが変われば、反応も変わる。
確かに見ていると、ビジュアルなものがウケたり、メンタルなものの方が反応がありました。

この事を逆に考えると、お客さんの見たいものを演じれば、反応を得ることが出来るという事になります。
最初から演目を決めていくと、その演目でウケるように演者が持っていかないといけません。
ですが、ある程度の演目を用意しておいて、お客さんの反応を見ながら、演目を変えれば、いい結果を得られるんじゃないかと考えました。
これが柔軟なマジシャンです。

ただ難しいのも事実です。
お客さんが見たいものを感知して、それを演じないといけません。
お客さんの見たいものが、私の苦手な分野だったり、読み違えたりすることもあります。

本当に“マジシャン”は難しいと感じることが多いです。
それ以上に“面白い”と感じることが多いのも事実です。

悩める日々が続きます。




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